Kyoto Styudy

STUDY KYOTO MAGAZINE

精進料理から学ぶ日本文化

精進料理から学ぶ日本文化

今回のKyoto study program夏期短期プログラムには和食の1ジャンルである「精進料理」についての講義が組み込まれています。日本が世界に誇る食文化をどのように留学生に伝えているのでしょうか?京都府大で行われた実際の授業にお邪魔してお話をうかがってきました。

まずは講義

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京都和食文化研究センター長による流暢な英語でのウェルカムメッセージに続いて、講義が始まりました。講義を担当されるのは同センター所属の上田純一特任教授。中世禅宗史、日中文化交流史を専門とされています。

(今回は初めての取組として、各学生にマンツーマンで英語通訳がつきました。実は今回の講義は通訳ガイドの方の実習の場にもなっています。)

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精進料理とは

今回の講義では多様な日本食の中でも「精進料理」を取り上げました。精進料理とは動物性食材を避けた野菜料理の総称で、肉食を禁ずる仏教思想の伝来により、寺院を中心に広がりました。精進という言葉自体も仏教用語で、「修行に励むこと」を意味しています。西暦600年代より日本には次第に肉食を忌避する文化が育っていきました。しかし、一般の人が常に肉食を断っていたわけではなく、10世紀末の文献には「精進料理はまずい」という記述があり、一般の人は精進料理を「粗末な、まずい料理」と見なしていたことがわかります。

「もどき」と「見立て」

最初は、まずいと見なされていた精進料理ですが13世紀になると状況が変わり始めます。
野菜を材料にして形や味を肉や魚に似せる「もどき料理」が生まれたのです。
日本人は「もどき料理」に面白さを見出しました。もともと日本には「見立て」という文化があったことが関係しているのかもしれません。

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例えば、竜安寺の石庭では小石を敷き詰めて海面に見立てています。当時の日本人は単純に水を引くだけでは趣に欠けると考え、水を使わずに水を表現することを面白いと考えたのです。そういった文化の中で、肉や魚を使わないという制限の中で肉や魚と見間違えるような料理を作ることは日本人にとって面白い挑戦だったのでしょう。見た目だけでなく、豆腐や粉もの、植物油で揚げることなどを駆使して味も肉や魚に近く、美味しくなっていきました。

現代の精進料理。日本食全体への影響

日本人は現代もお寺での法事などで精進料理を食べます。精進料理をメニューの一つとするレストランもあります。また精進料理のメニューや技法は一般的に食べられる日本料理にも受け継がれています。ここまで精進料理が広まり、生き残ったのは、肉食を禁じられていたという抑制的な理由だけではありません。何よりも工夫を凝らした料理が面白く、美味しかったからです。このような傾向は料理だけでなく他の日本文化にも見られることです。