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STUDY KYOTO MAGAZINE

京都で学ぶムスリム留学生の声

生活の中のニーズ

Q:京都でムスリムの学生として生活していくことに対してどのように考えられていますか?難しく感じたことはありましたか?また、逆に驚くほど簡単だと感じたことはありましたか?

ファーミーさん:ハラルフードを買うことは難しかったですね。京都では量販店でハラルフードを安く買うことができるのですが、あまり種類はないんです。それに、学校ではお祈りをする時間もあまりありません。1日に5回はお祈りをしたいと思うのですが、日本では少し難しいようです。私は京都大学の吉田キャンパスの授業を取っています。吉田キャンパスには2つのお祈りスペースがあるので学校にいるときはそこでお祈りをしています。私の大学院の先生は非常に理解があるので、お祈りの時間が来ると授業の途中でも、お祈りに行くことができました。

金曜日の礼拝にはあまりたくさんの選択肢はありませんが、京都には小さなモスクがあります。金曜日は昼食頃に重要なお祈りがあるため、ムスリムにとっては特別な日です。ムスリムの、特に男性はその日の祈りを最大限優先しようとします。このため、留学生活の中で研究室の旅行などのイベントに参加することをあきらめざるを得ないことが何回かありました。私はもっと日本を旅して、いろいろなものを見たかったので、そうした決断はとても辛かったです。

(※京都では、京都大学のようにお祈りスペースを設ける学校が増えています。行政もまた今回のパネリストのような学生たちから話を聴き続ける必要性に気づいています。日本人だけでは気づかないニーズを理解することは重要なことです。)

S.D.さん:日本食にはかなり豚肉が使われています。時々、ハンバーガーを食べたくなりますが、ほとんどのハンバーガーは牛と豚の合いびき肉で作られているんですよね。だから、友達と外食することが難しいこともあります。もし、ほとんどのメニューに豚肉が含まれていた場合は私はずっとサラダとフライドポテトを食べていることになりますね。
お祈りに関しては、女性専用のお祈りスペースを見つけることが難しいですね。私は少しシャイなので、できれば他の人と一緒ではなく個室でお祈りをしたいのですが、見つけるのが難しいことがあります。小さな場所でもいいので、プライバシーを保ってお祈りしたいと思っています。学校にいるときは、あまり選択肢はありませんが、授業が12:30に終わった時はすぐに部屋に戻ってお祈りをしています。

お祈り以外では、本当に困っていることはひとつだけです。アルバイトのとき、ヒジャブを身に着けることができないことです。お客さんが不安に思うといけないので。私たち(インドネシアのムスリム)はヒジャブをほとんどファッションアイテムで、頭に巻くスカーフのようなものだと捉えています。

ヒジャブは怖がるようなものではないし、イスラム教を宣伝するようなものでもないということを理解してもらえるといいですね。

最初に話してくださった2人はインドネシアの出身でした。次にお話しされたマーディさんは、イラン出身で少し違った見方を伝えてくださいました。

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マーディさん:最近、大阪駅にお祈り専用のスペースができたと聞きました。駅は多様な場所から来た多くの人が行き交う所ですから、そういったスペースは必ず必要だと思います。
京都で留学を始めたとき、私は同志社大学に所属していました。そのときは学校内でお祈りをする場所がなかったので京都御所でお祈りをしていました。そこには、ひとりでも他の人と一緒でも、お祈りできる場所がありました。最初は、周りの人が「何をやっているんだろう?」という目で見ましたが、今は気にならなくなりました。
友達からよく聞く問題はトイレの話ですね。日本はむしろウォシュレットがあることが多く、欧米のトイレよりありがたい環境ではありますが、やはり電車の中のトイレなど、ウォシュレットがないトイレもあります。ムスリムのトイレにはたくさんのルールがあって、お祈りの前には身を清めなければいけないという決まりがあります。イスラム世界の便所マナーについて、これ以上は語りませんが、TOTOのような日本企業がすぐに問題に取り組んでくれるとありがたいです(笑)
(※実はムスリムの考え方では紙を使うだけでは不十分で、必ず水を使って身を清める必要があります。そういった事情はムスリムの方の慎み深さもあり、あまり訴えられることがなく、異文化の方には伝わりづらい問題でした。)

母国での日本留学の人気は?

Q:皆さんの母国の学生たちは日本留学についてどのように考えていますか。何かニーズがありますでしょうか?

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ファーミーさん:たくさんのインドネシア人学生はイギリスに留学します。奨学金が豊富にあるからです。日本留学はそんなにポピュラーではありません。日本留学の奨学金はホンダやパナソニックのものがありますが、ヨーロッパ留学にはもっとたくさんの種類の奨学金があります。

S.D.さん:確かにそうです。たくさんの学生はイギリスやヨーロッパ諸国に行きたいと思っています。奨学金も重要ですが応募するのは難しいです。私は、日本は留学先として人気があると思いますよ。私の周りの人は日本に来たいと言っていますから。ですが、最近の高校生の多くは韓国のドラマやK-POPにハマっていて、いつか韓国に行きたいと言っていますね。

マーディさん:私がイランにいたとき、日本語を勉強したかったのですが、日本語学校を見つけることができませんでした。だから、日本大使館に電話をして日本語を学びたいと言ってみたんです(笑)大使館の方は、それは難しいと言いましたが、もし私が大使館まで来れるなら可能性はある…と。私はシラーズというイラン南部の町に住んでおり、大使館のあるテヘランまで行くことはできませんでした。そういったわけでイランで日本語を勉強するのは難しい状況です。

と言っても、まだイランと日本には有名なつながりがあります。例えばダルビッシュなど、イランのルーツを持つ方の活躍や、アニメは以前に比べてテレビ放映が減っているとはいえ、今も大きな影響力を持っています。私が日本について話すと多くの人は自分も日本で勉強したいと言ってくれます。
日本はもっと日本や京都の美しさをイランの高校生たちに見せるべきだと思います。

京都をさらにムスリムフレンドリーに!

日本のようなイスラム圏でない国ではパネリストの3人が持つような宗教的・文化的ニーズは学校内でまだあまりなじみがありません。ですが、京都大学、同志社大学のような大学は食堂でハラルフードを用意しています。また、京都外国語大学にもお祈りスペースが設けられています。
https://www.studykyoto.jp/magazine/2017/06/15/muslim-friendly-kyoto/2/
https://www.studykyoto.jp/magazine/2017/06/15/muslim-friendly-kyoto/

今回のようなイベントを通して、京都をさらにムスリムフレンドリーな環境にしていければと思います。

京都のモスクや、お祈りスペース、ハラルフードを提供するレストラン情報などを知りたい方はこちらの記事をどうぞ!
https://www.studykyoto.jp/magazine/2017/06/15/muslim-friendly-kyoto/

 

また、京都のムスリム留学生の生活を取り上げた映像はこちらをご覧ください。

https://www.youtube.com/watch?v=pkc41S3oG6E

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