東京に憧れていた私が、京都を『ふるさと』と呼ぶようになるまで
同志社大学
ボリング マヤ (アメリカ 出身)
※2026年取材
留学先をどのようにして選びましたか?京都を選んだ理由も合わせて教えてください。
実は、今は京都で二度目の留学をしています。
初めて来る前は、本当は東京で勉強したいと思っていました。旅行で東京を訪れたことがあって、その街の雰囲気やワクワクする感じが大好きだったんです。
そんな中、父が京都の日本語学校を見つけてくれて、「京都にしてみたら?」と勧めてくれました。学費もずっと安く、生活費も抑えられるとのことでした。正直、気持ちは東京に傾いていましたが、費用の差はあまりにも大きくて、最終的に京都に来ることにしました。
でも、結果的に私はこの街にすっかり恋をしてしまいました。いったん帰国してからも、頭にあったのは京都のことばかり。結局、もう一度ここで学びたいと思い、再び京都に戻ってきました。

現在何について学んでいますか?卒業の方は、これまでどんな勉強をしてきましたか?
現在はMBA(経営学修士)に在籍しています。
初めて京都に来たときは、日本語学校に通っていました。当時は、美術系の大学に進むべきか、それともビジネススクールに進むべきかで迷っていました。最終的にビジネスを選んだのは、大学時代の専攻により近かったこと、そして将来の選択肢を広げられると感じたからです。
留学前、京都に対してどのような印象をもっていましたか?
もうずいぶん前のことなので、正直あまり覚えていません。
当時は京都についてほとんど何も知らなかったんです。頭の中はずっと東京のことでいっぱいでした。
京都を「街」として考えたこともあまりなかったと思います。ただお寺がたくさんあって、静かな通りが続いている場所――そんなイメージしかありませんでした。
実際に留学して、京都の印象はどう変わりましたか?
日本に行けることが本当にうれしくて、当時はよくGoogleマップのストリートビューで京都の街を“歩き回って”いました。でも、実際の京都は、画面越しではまったく想像できないほど特別でした。
今でも覚えています。初めて学校へ向かう途中で鴨川を渡ったときのこと。あまりにもきれいで、「これがこれから毎日の通学路になるんだ」と思うと信じられない気持ちでした。
そして、京都で迎えた最初の日。できたばかりの友達と一緒に寺町商店街を歩きました。すべてが新鮮で、活気にあふれていて、胸が高鳴っていたのを今でもはっきり覚えています。

留学前、不安だったことはありましたか?どのような不安か詳しく教えてください。
少し恥ずかしいのですが、初めて京都に来る前、私は本当によく泣いていました。特にアメリカで過ごした最後の1か月は、何度も泣きながら眠りについたと思います。
生まれ育った町や友達、家族、これまでの人生で知っているすべてを離れて、言葉も十分に話せない国へ、行ったこともない街へ引っ越す。やっぱり怖かったんです。もちろん、友達ができることも、きっと人生で一番楽しい時間になることも分かっていました。それ自体はまったく心配していませんでした。ただ、それでもやっぱり怖いものは怖い。18歳で高校を卒業したばかりの私にとっては、とても大きな決断でした。
そして、京都に戻ると決めたときも、同じくらい大きな決断でした。どれくらい日本にいることになるのか分からなかったからです。日本語学校に通って、その後大学院に進学し、もしかしたら日本で就職するかもしれない。つまり、そのまま「ずっと」になる可能性も高いと分かっていました。
それに加えて、日本の学年は母国と違います。だから大学の卒業式や、友達との卒業のお祝いにも参加できない。少しずつ距離ができてしまうかもしれないし、もう二度と会えなくなる人もいるかもしれない。そんなことを考えて、とても不安でした。
京都に来てよかったこと、感激したことは何ですか?
本当に、もう全部が好きなんです。私は京都が大好きです。ここは私にとって「ふるさと」みたいな場所です。地元と同じくらい、京都も自分のホームだと感じています。
たくさんのことができる都会なのに、どこか小さくて、親しみやすい。河原町あたりで遊んでいると、ばったり友達に会うこともよくあります。そういう瞬間に、「ちゃんと自分のコミュニティがあるんだな」と実感します。
でも、京都でいちばん好きなのは、街の真ん中を流れる鴨川です。あの川のない生活なんて、もう想像できません。
そこでピクニックもしたし、運動もしたし、お酒も飲んだし、泣いたこともあります。寝転んだり、本を読んだり、課題をしたり、楽器を練習したり、花火をしたり。散歩をして、犬を撫でて、不思議な生き物を見つけて、知らない人と話して、水に飛び込んで、石を積んだこともあります。街のど真ん中に、こんなに穏やかで、それでいて生き生きとした場所があるなんて、本当にすごいことだと思います。
昔、友達と朝に河原をジョギングしていた時期がありました。もう何年も前のことですが、ある春の朝の光景を今でもはっきり覚えています。太陽がきらきらと照っていて、早春の空気は少しだけひんやりしていました。
地元の学校が体育の授業で河川敷を使っていて、かわいいおそろいの帽子をかぶった園児たちが、100人くらい私たちの横を走っていたんです。先生たちは川沿いに並んで「がんばってーーー!!!」と声を張り上げ、子どもたちも負けじと応えながら、一生懸命走っていました。その光景が、私たちの周り一面で広がっていたんです。
そのとき、友達がうれしそうな声で「これが生きてるってことだよね」と言いました。
私はきっと、一生あの瞬間を忘れないと思います。

留学中に苦労したことはありましたか?
私にとっていちばんつらいのは、家族と離れていることです。
あるとき、両親がセルフィーを送ってくれました。父の髪が白くなっていたんです。私が家を出たときは、まだ白くなかったのに。その写真を見た瞬間、「私がいない間に、両親は少しずつ歳を重ねているんだ」と思って、泣いてしまいました。
子どものころから一緒に育ったペットも、家族が送ってくれる写真を通して、少しずつ年を取っていくのを見守ることしかできませんでした。そして最終的には、電話越しにその子が亡くなったことを知らされました。数か月後の冬休みには帰国する予定があったのに、最後にもう一度会うことはできなかった。あのときは本当に胸が張り裂けそうでした。
ある年のホリデーシーズン、私と、母国が日本からとても遠い国にある留学生の友達たちと一緒に過ごしていました。みんなで半分泣きながら、「帰りたい!!!!家族に会いたい!!」と言っていました。でも同時に、お互いがそばにいてくれることが本当にありがたかったんです。
「一年のうち11か月は、海外生活って最高だよね。でも残りの1か月だけは、寂しくて、家族に会えなくてつらくて、落ち込むよね。そしてまた楽しくなるんだよね。」
冗談みたいに笑いながらそう話していましたが、あれは本当の気持ちでした。

京都で勉強する魅力は何だと思いますか?
本当に、どれか一つを選ぶなんてできません。
一方では、京都が「学生の街」であることが大好きです。どこへ行っても若い人たちがいて、サークルや団体も本当にたくさんあって、街全体がいつも活気にあふれています。
でも……やっぱり京都ならではだと思うのは、日本文化の“砦”のような存在であるところです。学生と日本文化をつなげてくれる団体や機会が、本当にたくさんあります。私の学校には、なんと芸妓さんが来てくださったこともありました。和菓子作りや生け花の体験講座にも参加しましたし、学生チケットで歌舞伎や、毎年行われる芸舞妓さんの舞踊公演も観に行きました。
さらに、築150年の町家でアルバイトを見つけ、着物を着て茶道のお手伝いをしています。宇治の生産者から直接仕入れている、オリジナルブレンドの上質な抹茶をいただけるんです。それも、働きながら。しかもお給料までいただけるなんて。
世界中の人が何千ドルもかけて訪れ、歩くこの街並みが、私にとってはただの“朝の通学路”なんです。それって、本当に特別なことだと思いませんか。
朝の散歩が好きなのですが、家から10分歩くだけで世界遺産があります。さらに、銀閣寺や哲学の道、京都御所も、気持ちよく歩いて行ける距離にあります。
本当に、心から「特別な場所」だと思っています。
留学経験を将来どのように活かしていきたいですか?
留学を通して、日本語が流暢に話せるようになりました。もちろん、それは将来のキャリアでも活かしていくつもりです。
でも、この留学が私に与えてくれたものは、日本語能力だけではありません。日本で働き、サークルに入り、日本人学生と一緒に授業を受けてきました。これは、母国にいたままでは絶対にできなかった経験です。
日本文化は、どの文化もそうであるように、とてもユニークです。そして私は、この地で過ごす中で、それを本当の意味で理解できるようになったと感じています。私の国と比べると、日本人はずっと間接的で、打ち解け方も違います。ユーモアの感覚も違えば、年齢への意識もとても強い。ここでの「敬意」の形は、私が育った環境とはまったく異なります。
もちろん、来日する前からそうした特徴を“知識として”は知っていました。でも、知っていることと、実際に体験し、それが人間関係や日々のやり取りにどう影響するのかを身をもって感じることは、まったく別物です。
私は、この経験と理解を活かして、海外と日本をつなぐ架け橋のような存在になりたいと思っています。どれだけ翻訳ツールが進化しても、文化を越えた相互理解の大切さは変わりません。

卒業後の夢を教えてください。
本当に、日本に残りたいと思っています。
実は今、ちょうど就職活動の真っ最中です。日本語で働き、日本人の方々と一緒に仕事ができる職場を見つけたいと思っています。特に関西が大好きなので、できればこの地域にそのまま残れたらうれしいです。
そして卒業したら、日本で猫を飼うのがひそかな夢です。
最後に…京都留学を検討している方にメッセージをお願いします。
きっと、人生でいちばん最高の時間になります!
今思い描いているどんな期待も、それ以上のものになるはずです。
正直、私が京都について好きなことは、とても言葉では全部伝えきれません。きっと、今はまだ想像もしていないような体験が、たくさん待っていると思います。
だから、ぜひ来てください!





